資産構築・運用・管理

マンションの建替えはどうなる?成功事例から失敗の要因を分析してみた

今回は、「マンションの建て替え」についてのお話です。

もし、あなたのご自宅が分譲マンションだとしたら将来は、

  • 建て替えもできない
  • 建物や設備の大改修もできない
  • 建物を壊すこともできない

という「3つのできない」状態に陥る可能性があります。

実際にはマンションのスラム化は始まってますね。

なので私は、分譲マンションをお持ちの場合は、早いうちに売却して、賃貸にするか、戸建に住み替えましょうということを提案します。

マンションの建て替えは増えている!?

これは、国土交通省が公表しているマンションの建替えの実施状況です。

出典:国土交通省

このグラフを見て、あなたがパッと思いつくことは何でしょうか。

マンション建て替え件数(棟数)は、年々伸びている!

と思いませんでしたか?

そう考えるのもムリはありません。

”勝手にそう判断してもらうように”グラフを作っているのですから。

確かに建て替えの件数(棟数)は伸びていることは伸びています。

しかしこれは、グラフの作成者(=政府・国土交通省)が狙った“印象操作”が含まれています。

なぜ、”印象操作だ”と私が感じるのかというと、グラフの縦軸が0から始まっていないからです。

縦軸の基準が、

  • 0からスタートしているグラフ
  • 80からスタートしているフラフ

を作って見え方の比較してみましょう。

まず、縦軸(棟数)が0からスタートしているグラフ。

次に、縦軸(棟数)が80からスタートしているグラフ。

どちらも同じデータを使ってグラフを作っているのですが、縦軸を80からスタートしたものの方が、「年々伸びている」という印象を持ちませんでしたか。

これ、見る人をミスリードするグラフのトリックですね。

自分が住む分譲マンションの将来の建て替えについて不安を感じている人はいます。

そんな人にとって縦軸を操作したこのグラフは、「マンションの建て替えが順調に進んでいるとの安心感」を与えてくれるものになるかもしれません。

ただ、その見方だと本質を捉えることはできていません。

不動産や金融商品には、一見得のように見せかけておいて、実態とは違う印象植え付けるようなものも存在するので、コロッと騙されないように注意しましょうね。

結構これは古典的な手法です。

マンションの建て替えの実態は?

ここでは、マンションの建て替えにかかわる実態をお伝えします。

現時点で、全国のマンションのストック数は約644万戸です。(2017年12月末時点)

出典:国土交通省

この中で、建て替えを要するマンションはいくつあるでしょうか。

一つの判断基準は、旧耐震基準で建てられたマンションです。

これが戸数にして約104万戸あります。

一つの判断基準は、築年数がたとえば30年、40年経った古いマンションです。

2017年4月時点で、築30年を超えるマンションは約185万戸あり、その内40年超は約73万戸あります。

ここで、仮に1棟あたりの戸数を60戸と仮定します。

すると、

  • 築30年を超える棟数は、ざっくり3.1万棟(185万戸÷60戸)
  • 築40年を超える棟数は、ざっくり1.2万棟(73万戸÷60戸)

ある計算になります。

先ほどのグラフから、建て替えに至っているマンションは直近の年で約270棟でした。

老朽マンションの棟数と建て替えに至ったマンションの棟数を比較してみると、マンションの建て替えは全然進んでいないじゃん!!って結論になります。

マンションの建て替えの成功事例(四谷コーポラス)

マンションの建て替えに成功する条件はどんなものでしょうか。

成功した事例として、日本初の民間分譲マンションとされる四谷コーポラス(1956年竣工)を取りあげます。

成功できた要因をまとめると、以下のような要因が浮かび上がってきます。

  • 住民が管理組合の総会への参加率が高かった
  • 建て替えに対する当事者意識が強い
  • 長年にわたってコミュニティが形成されていた
  • 組合の理事長、理事らへの信頼も非常に篤かった
  • もともと一戸が70平方メートルあまりと広かった
  • 建て替え後の部屋面積を縮小する選択もできた
  • 現在の28戸を51戸に増やして一部を分譲し事業費に充てられた
  • 費用負担を抑えることができた

四谷コーポラスの所在地は、東京都新宿区塩町10番地で、JR四ツ谷駅から徒歩5分の超一等地です。

容積率※に余裕があれば、戸数を増やすことができます。

そして、立地が良ければ、売り出しても高値で売却が可能です。

売却して得た資金を建て替えに回すことができれば、もとの住人の負担をゼロに近づけることができます。

※容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合です。

例えば、敷地面積が100㎡、延べ床面積が70㎡なら、容積率は70%(70÷100☓100)と計算されます。

「容積率に余裕がある」というのは、例えばそのマンションの指定容積率は400%だけど、容積率200%しか使っていないような状態です。つまり、延べ床面積を増やしても容積率の限度には達しないような状態のことです。

 

マンションの建て替えに失敗する要因

四谷コーポラスが建て替えに成功したのは、好条件が重なっていたらからです。

逆に、建て替えに失敗してしまうのは、好条件が揃っていない場合です。

失敗する要因をまとめると以下の通りです。

  • 容積率に余裕がない
  • 立地が抜群にいいとは言えない(都心の人気エリアにない物件)
  • 経済的に余裕のない住人(年金暮らしの高齢者など)がいる

まず、容積率に余裕がなければ、戸数を増やすことができません。

そうなると、売り出せる戸数がなく建て替えに際して既存の住人の持ち出しが多くなります。

将来は容積率の規制が緩和されると楽観的に人もいます。

容積率に余裕があったとしても、郊外に立地する物件では高値で住戸を売却できず、既存の住人の費用負担をゼロにすることが難しいです。

費用負担があるとなると、反対する人が増え合意形成には至ることはありません。

反対する代表者は、年金暮らしの高齢者です。

『建て替えるのは、私が死んでからにしてくれ』
『この先もう何年も生きないのに建て替えなんてバカらしい』
『年金生活で預貯金を切り崩して生活しているので、高額な建て替え費用は払えない』

という考えを持っています。

そして耐震基準を満たしていないという指摘を受けても、『耐震補強をしなくても罰則規定がない』と主張して補強工事も拒否し、これも合意形成には至りません。

たとえあなた個人が建て替え費用を賄うことができても、同じマンションの他の住人の懐事情によってあなたは影響を受けてしまうのです。

まとめ

  • マンションの建て替えは実際にはほとんど進んでいないこと
  • 建て替えを実現できるのはよっぽどの好条件にある物件であること
  • それ以外のマンションは、持ち出しが多くなり合意形成には至らない
  • つまり、マンションの建て替えはほどんどできない

ということについて述べてきました。

中には容積率は緩和するから大丈夫!と楽観視する人もいますが、私は懐疑的です。

容積率が緩和されて戸数を増やしたとして、郊外の物件が高値で販売できるでしょうか。

今後人口が減ることは確実な中で、空室を増やしてしまう結果になりますよね。

そうなると建築費だけがかかり、もう目も当てられない状況になります。

分譲マンションを購入して住むということは、そこの住人が同じボートに乗っているのと同じです。

自分の一存では何にもできないんです。

これから老朽化マンションが建て替えできずに、スラム化していくことは容易に想像できます。

だから私だったら、売れるうちにマンションを売却して、賃貸にするか、個人の自由度が高い中古の戸建てを購入しますね。

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