とドア越しで冷たくあしらわれ、私は娘と一緒に雨の中をトボトボと帰っていきました。
私は近所で空き家があったら、所有者の住所を調べ、特定した住所に直接訪問し特定し、空き家の再生を提案しています。
- 住んでいない
- 貸してもいない
- 売り出している気配もない
- ただただ、固定資産税を払っているだけ(⇒マイナスのキャッシュフロー)
「不動産は資産だ」と世の中では信じられています。
でもキャッシュアウトしていくだけなら、不動産は資産ではなく負債でしかありません。
放火や倒壊など、空き家を放置しておくことのリスクもあります。
万が一のことが起きれば、責任の所在は空き家の所有者のところにいくこともあるでしょう。
というの提案は、悪くないんじゃないかなって思うんです。
なぜなら、建物に適切なメンテナンスを施し、空き家の所有者にはプラスのキャッシュフローをもたらすことができるからです。
ただ現実は、冒頭のようなやり取りで即撃沈されることばかり。。。
私のようなおっさんがひとりで「ピンポーン」としても、先方からしたらただ怪しいだけなのは十分にわかります。
怪しさが少しでも軽減できるように、可能な限り娘と一緒に行くことにしているんですけどね。www
さて今回は、なぜ空き家対策・活用が進んでいかないのか、その理由・原因について考察します。
そのうえで、この空き家問題をどうやって解決したらいいのかをなりの切り口で解決策を考えて行きたいと思います。(大半の理由は、のやり方のマズさだってことは置いといて・・・ww)
空き家の件数と空き家率の推移
出典:日経新聞
現状の空き家のデータは以下の通りです。
- 空き家件数:846万戸
- 空き家率 :13.6%
総務省が26日発表した2018年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.6%だった。
地方を中心に人口減少などで空き家が増え、戸数も最多の846万戸になった。政府は中古住宅の活用や老朽化した空き家の撤去を促す政策を相次いで導入しているが、空き家の増加に追いついていないのが現状だ。
出典:日経新聞
いずれも過去最高。
今後も空き家の戸数も空き家率も上昇していくことが確実視されています。
国はこの対策として、2015年に空家等対策の推進に関する特別措置法を2014年11月に公布し、2015年2月から施行しています。
これを受け、地方行政でも空き家活用の施策を打っています。
私が住んでいる街でも、役所が空き家の調査を行い、そこから有効活用に向けた施策を実施しています。
私はこの施策がどれほど効果を挙げているのか気になったので、役所に足を運びヒアリングをしてみました。
すると、役所の担当者はこの件について歯切れが悪く、ハッキリとは言いませんでしたが、ほとんど成果があがっていないことがわかりました。
その理由・原因はどうも、「空き家を活用したい」側ではなく、「空き家の所有者」側にあるようです。
私は、空き家の所有者の考え・思っていること・悩みを知るべく調べてることにしました。
以下に、空き家の所有者についてわかったことをまとめていきます。
空き家所有者の7割はなーんにもしていない
まず、空き家の所有者の7割は、特に何もしていません。。。
出典:株式会社価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)をベースにRobust-Life作成
売却して現金化しようと動いているわけでもなく、賃貸経営に乗り出そうというのでもなく、何もせず放置プレーなんですね(汗)。
そもそも、そうした空き家を取得した経緯は「相続で」ってものが多いです。
これまで私が「ピンポーン」ってアプローチした空き家の所有者たちも、「相続で」取得したものがほとんどでした。
空き家を何もせずに保有しているのはなぜ?
と私なんかは個人的に思ってしまいます。
その理由について、答えになるものを見つけましたのでシェアします。
出典:平成26年空家実態調査からRobust-Life作成
「物置として必要」というのは、活用しているといえば活用しているってことなんでしょうけど、ずいぶんと消極的な理由が並んでいると思いませんか。
改めて理由を並べると以下のようになっています。
- 物置として必要だから
- 解体費用をかけたくないから
- 特に困ってないから
- 将来、自分や家族が使うかもしれないから
- 好きなときに利用や処分ができなくなるから
- 仏壇などを捨てられないものがあるから
- 更地にしても使いみちがないから
- 取り壊すと固定資産税が上がるから
- 古い・狭いなど住宅の質が低いから
- リフォーム費用をかけたくないから
- 他人に貸すことに不安があるから
- 労力や手間をかけたくないから
- 満足できる価格で売れそうにないから
- 道路付けや交通の便が悪いから
- 資産として保有しておきたいから
- 満足できる家賃を取れそうにないから
- 戸建を借りる人が少ないから
- 中古戸建を買う人は少ないから
結局、売却したり活用したりする、”差し迫った理由”がないんですよね。
「別に何もしなくても困んないし」ってことなんですよ。
「将来使うかもしれない・・・」って思っていてとりあえずとっておくけど、結局なーんもしないのが世の常だと思いませんか。
例えば、洋服とかもそうですよね。
これ来シーズン着ると思ってもそのまま着なかったり・・・
空き家の所有者をどう動かす?
では、どうしたら空き家問題は解決に動き出すでしょうか。
空き家の所有者が「今すぐ対応しなければ・・・」と思うような政策を国が明確に打ち出すことが最も効果的だと私は思います。
それには、痛みを伴うはずですが。。。
具体的には、現行の空き家関連法案をもっと強化することです。
現行でも、
- 特定空き家に指定された所有者が、自治体の指導にもとづいた改善を怠った場合、50万円以下の過料が科される
- 固定資産税の軽減措置対象から外れ、大幅な増税が行われるようになる
ということはあります。
ただ、特定空き家に指定されているのは、全体からすればごくごく少数です。
全国でたったこれだけ・・・って感じですよね。
空き家の所有者に対して、行政が時間をかけて慎重に助言・指導等を行った末にやむなく・・・というのでは空き家は増えていく一方です。
本当に空き家問題を解決に持っていきたいと思うのであれば、法制の強化は必要ではないでしょうか。
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