資産構築・運用・管理

ETFとは?メリットやデメリットと投資信託との違いをわかりやすく解説


ETFって何?投資信託と違うの?メリットやデメリットを知りたい!

今回取り上げるETFは・・・

  • 老後資金は公的年金だけには頼れない・・・
  • 自助努力で資産運用して準備しなければ・・・
  • でも投資のことはよくわからないし何を選んだらいいだろう・・・

という初心者の方にとって、やってみる価値はあると思います。

なぜなら、ETFには個別株や一般の投資信託にはない大きなメリットがありますので。

証券アナリスト・1級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を有し、運用会社でのアナリスト経験もある私が解説していきます。

ETFとは?

ETFとは、Exchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれています。

上場している投資信託の一種なので、個別株と同様に銘柄コードも付されています。

銘柄一覧は、JPX(日本取引所グループ)のサイトをご確認ください。

なお、”上場していない(非上場の)”投資信託もあり、これは一般の投資信託です。

ETFがおすすめの理由:4つのメリット

私が投資の初心者のあなたにETFをおすすめするには理由があります。

それは大きく4つのメリットがあるからです。

  1. 1本で分散投資ができるから
  2. 投資対象の種類が豊富だから
  3. 低コスストで運用できるから
  4. 株と同じ様に市場で売買できるから

それぞれについてわかりやすく解説していきますね。

1本で分散投資ができるから

一番大きいメリットは、ETFを1本買うだけで分散投資が可能になるというものです。

分散投資は、リスクを分散させる投資手法のことです。

【関連記事】
資産運用における分散投資の考え方を初心者向けにわかりやすく解説

分散すると何がいいのか?

それは、投資対象が値下がりしてしまった場合の損失金額を抑えながら、比較的安定した資産運用を目指すことができるからです。

具体例で考えてみましょう。

例えば、手元に100万円があったとして、1つの個別銘柄(A社株)に全額を投資するのと、A社株を含めた50の個別銘柄にそれぞれ2万円ずつ投資するのとどちらを選びますか。

A社株に100万円を投じてしまうと、手元資金の振れ幅は大きくなってしまいます。

もし、A社の業績が伸びれば株価は上昇する可能性はありますが、逆に倒産すればA社株は紙きれになります。

その時点で元手の100万円を失いゲーム終了です。

50個の銘柄に分散投資していれば、A社株の損失は2万円のみです。

仮に残りの49の銘柄で上昇している銘柄があれば、A社株の損失をカバーしてくれるかもしれません。

このように、分散投資は損失金額を抑えながら、安定した運用を目指せるのです。

「卵はひとつのかごに盛るな」という投資の格言は、まさしくこういうことなのです。

ETFはなぜ分散投資が可能なのか

個別株の投資は、特定の会社の株投を持つことです。

これに対してETFは一口購入するだけで、例えば東証1部上場企業全体に分散投資しているような効果が得られるのです。

例えば、東証一部に上場する約2,000銘柄を対象とした指数でTOPIXというものがあります。

TOPIXに連動するETFを1本購入することは、東証1部の2,000銘柄に投資しているようなものなのです。

もちろん、個別株でも、銘柄をたくさん保有すれば分散効果はあります。

ただ、この場合は多額の元手資金が必要になるというデメリットがあります。

そもそも投資の初心者が、個別株の選定を行うというのも難しいというものです。

投資対象の種類が豊富だから

ETFの投資対象は、日本の株式だけではありません。

  • 先進国の株式
  • 新興国の株式
  • 国内・外国の債券
  • 国内・外国のREIT(不動産投資信託)
  • 商品(コモディティ)等

さまざまな指数に連動するものがあります。

それぞれの投資対象(資産)は、値動きやリスク特性が異なります。

違う値動きをする資産をポートフォリオで組むことができれば、分散効果が働きます。

低コストで運用できるから

投資で成果を上げるためには、費用にも目を向ける必要があります。

一般の投資信託の場合、購入時の費用として売買手数料がかかり、運用期間中は保有コストとして信託報酬がかかります。

信託報酬は、毎日一定の率でファンドの信託財産から間接的に差し引かれる運営費用のことです。

ETFと一般的な投資信託と比較した場合、この信託報酬がETFの方が低いのです。

運用期間中に差し引かれる費用ですから、長期で運用すればするほど費用は膨れ上がり運用成果に影響します。

ちなみに、信託報酬の計算方法は以下の通りです。

日々の信託報酬額 = 基準価格 × (信託報酬率 ÷ 365)

※基準価格は自分が投資している時価資産残高と言い換えることもできます。

例えば、信託報酬が2%の投資信託で、時価資産残高が50万円の場合、

500,000 × (2% ÷ 365 ) = 27.4円

が1日に支払う信託報酬額となります。

資産残高は日々変動しますので、毎日の値上がり・値下がりによって信託報酬の実額も変わります。

単純計算する場合は、「500,000 × 2% = 10,000円」のように年率での計算を行います。

ETFであれば、信託報酬率はおおよそ0.1%~1%程度です。

例えば、信託報酬が0.1%のETFで、時価資産残高が50万円の場合、

1日の信託報酬額は

500,000 × (0.1% ÷ 365 ) = 1.4円

となり、このシミュレーションであれば1日26円の違いが出ます。

単純計算では年間で、「500,000 × 0.1% = 500円」となり、9,500円もの差があります。

なお、個別銘柄との比較では、個別銘柄は売買手数料のみで保有期間中に信託報酬はありません。

株と同じ様に市場で売買できるから

ETFは個別株と同様に取引所に上場しています。

取引所に上場しているということは、取引時間中であればリアルタイムに、市場価格で売買することができます。

一般の投資信託の場合は、1日に1回のみ基準価額が決められ、その金額でしか売買ができません。

基準価額が公表されるのは、投資信託の取引の申込を締め切った後なので、当日の基準価額がわからない状況で注文することになります。

ETFに投資するデメリットは?

メリットもあれば、もちろんデメリットもあります。

  1. 配当金が自動的に再投資されない
  2. 価格下落リスクがある
  3. 価格乖離のリスクがある
  4. 流動性のリスクがある
  5. 上場廃止のリスクがある

配当金が自動的に再投資されない

配当金を再投資していけば、複利効果でリターンがリターンを産み、資産は2次曲線的に増やすことが可能です。

ETFの分配金は、一般的な投資信託と異なり、組み入れ銘柄の配当金や利息は運用経費を差し引いて、決算時にすべて分配します(為替差益や値上がり益は分配しません)。

支払われた分配金は、自動で再投資されないため、再投資する場合は手動で買い付ける必要があります。

分配金の再投資を考えている人にとっては手間ですね。

なお、投資信託の場合は、分配金を受け取るか自動的に再投資へ回すかを投資家が選択可能です。

価格下落リスクがある

リーマンショックなどの世界的なイベントが起きると、分散投資しているといえども、総じて資産価格が下落します。

元本が保証されているわけでもありません。

だから投資はしないという人がいますが、何もせずに銀行預金しておくだけでは額面金額はほとんど増えず、インフレになれば、実質的に資産を減らすことになります。

【関連記事】
預金・貯金と貯蓄の違いは?資産形成の初心者が押さえるべき2つの考え方

価格乖離のリスクがある

ETFには、上場株式としての「市場価格」と投資信託としての「基準価額」の2つの価格があります。

市場価格は市場の需給で決まるため、投資信託の価値である基準価額と市場価格が乖離する可能性があります。

まとめ

今回はETFとは何かという定義から始まり、ETFのメリットやデメリットを説明してきました。

繰り返しになりますがメリットは、

  • 1本で分散投資ができるから
  • 投資対象の種類が豊富だから
  • 低コスストで運用できるから
  • 株と同じ様に市場で売買できるから

というものですね。

もっとも強調したいのは、分散投資が実現できるという点と低コストで運用できるという点です。

もちろん、以下のようなデメリットもあります。

  • 配当金が自動的に再投資されない
  • 価格下落リスクがある
  • 価格乖離のリスクがある
  • 流動性のリスクがある
  • 上場廃止のリスクがある

ただそれでも私は、メリットがデメリットを上回っていると思うので、初心者は投資を始めるにはいい投資対象だとおすすめします。

ところで、あなたが老後の生活に不安に思うようになったきっかけは、「老後資金が2,000万円不足するから自助努力せよ」という金融庁ワーキンググループの報告書ではないでしょうか。

結局政府は報告書を受け取らないとして騒動の幕引きを図りましたが、国民の間では老後資産への不安が高まったのではないでしょうか。

ロバストライフでは今後も、副業・不動産投資・ネットビジネス・投資などを通してキャッシュポイントを複線化していくことについて、情報を発信していきます。

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