インフレとは?5つの原因と預金の目減りを防ぐ対策をわかりやすく解説

インフレとはなんだろう?

 

何が原因でインフレになるの?

今回は、「インフレとは何?」とか「なんでインフレが起きるの?」とかも含めてチョー基礎的なところからわかりやすく解説してみたいと思います。

前回の記事「預金・貯金と貯蓄の違いは?資産形成の初心者が押さえるべき2つの考え方」の中で、「預金・貯金だけだと実質的な価値は目減りする」ということをお伝えしました。

価値が目減りしてしまうのは、「インフレ」になるからです。

最後まで読んでもらえれば、インフレによって老後資金確保のための資産形成にどんな影響があるのか、ということも含めて、理解が深まると思います。

つまり、今まで「よくわからない!」という人も、スッキリと理解して、じゃあ次に自分がどういうことを考えればいいかが見つかると思いますよ!

ちなみに、私は1級ファイナンシャル・プランニング技能士と証券アナリストの資格を有し、金融の実務経験があります。

インフレとは?

我々が「インフレ」と言っているものは、英語の「インフレーション(inflation)」の略です。

インフレとは、持続的にモノの価格が上がる現象のことです。

これを逆に言うと、お金の価値が下がることを意味します。

モノを手に入れるためには、お金と交換しますからね。

具体例で説明します。

例えば、ガソリン価格がこれまで100円/リットル(ℓ)だったのに、2倍の200円/ℓになったとします。

これは言い方を変えると、

・ガソリンというモノの価格が上がった
・お金の価値が下がった

ということです。

なぜ、お金の価値が下がったとなるのか。

それは、今まで1リットルは100円で買えていたものが、200円出さないと買えなくなったからです。

100円だと半分(0.5ℓ分)しか買えなくなったということで、100円という額面は変わらなくても、100円で交換できるモノが限定されてしまったんですよね。

これがつまり、お金の価値が下がったという意味です。

なぜインフレになる?5つの原因を簡単に説明

インフレとは何か?がわかったところで、次に気になるのはきっとこんなことじゃなでしょうか。

なぜ、インフレは起きるんだろう・・・?

これについて、解説していきます。

最もシンプルな説明は、「よいインフレ」と「悪いインフレ」です。

原因1:需要が供給を上回る(→よいインフレ)

需要とは、「買いたい!」「欲しい!」という気持ち、すなわち「購入意欲」「欲求」のことです。
供給とは、「欲求」を満たすモノの量のことです。

需要の方が、供給よりも上回るとは、需要の量が供給の量よりも大きい、すなわち「需要>供給」となっている状態です。

景気がよくなって、社会全体の需要の伸びに供給が追い付かなくなると物価上昇(インフレ)が起きます。

世の中でモノの購入意欲が高まり、企業が販売価格を上げても、売れる

企業に利益が多く残るようになり、従業員(社員)の給料が増える

懐が潤った従業員は生活者としてもっと消費するようになる

企業は更なる需要に応えるべく設備投資をして生産量を増やす

売れる

・・・

という好景気のサイクルです。

だから「よいインフレ」と言われます。

ちょっと小難しい言い方だと、「ディマンドプルインフレ(需要増がけん引して起きるインフレ)」とも言います。

原因2:原料コストが高くなる (→悪いインフレ)

原油や木材など原材料価格が上昇すると、企業は生産コストが上昇します。

これまでの価格を据え置いたまま販売していると、企業の利益は減ってしまいます。

だから、原料コストが高くなった分は販売価格に反映させるんですね。

これを世の中全体でみると、物価上昇・インフレってことになります。

これは、先ほどの需要が増えることによるインフレ(よいインフレ)の場合とは違い、原料高を販売価格に反映することによるインフレです。

「コストプッシュインフレ(原料高により引き起こされるインフレ)」と言われるものです。

なお、このコストプッシュインフレには、賃金の上昇によるインフレも含まれます。

学校とか塾とかの教育サービスの価格が上がってきている事例を思い浮かべてみるとわかりやすいでしょう。

コストプッシュインフレでは、世の中の需要に関係なく、原料高になったからと企業側の都合で値上げをしていくのですから、消費者は値上げにいつまでもついていけません。

需要をほぼ無視して原料高を理由に物価が上昇する(インフレになる)

消費者は買い控えるようになる

モノが売れず企業の利益が減り、従業員(社員)の給料は伸びない(減る)

懐がさみしくなった従業員は生活者としてさらに消費を控えるようになる

企業は世の中の需要減に応じて生産量の調整、生産設備の縮小化、リストラを断行する

・・・

という不景気のサイクルになります。

だから、「コストプッシュインフレ」は「悪いインフレ」とも言われます。

余談:サンマも値上げ(インフレ)

秋の味覚のサンマは、かつて1尾100円ほどで売られていて庶民の味でした。

しかし、現在は価格が2倍以上になってしまい、なかなか食べられなくなってしまいました。

これは、水揚量(=供給)が激減したからです。

全国さんま棒受網漁業協同組合の統計によると、2008年に34.3万トンあった水揚量は、2020年3.0万トンと1/10にまで減ってしまいました。


出典:全国さんま棒受網漁業協同組合

サンマを獲るには、まず船を調達して、燃料を入れて、人を雇って、港に船を係留して・・・とか様々なコストがかかりますからね。

水揚量(供給)が激減すると、当然にさんま1尾あたりのコストが上昇します。

現在のサンマの販売価格は、原料コストの上昇を反映したものですから、「コストプッシュインフレ」と言えますよね。

 

ここまでで、インフレの原因としてよく用いられる「よいインフレ」と「悪いインフレ」の2つをお伝えしました。

この他にもインフレの原因となるものがあります。

原因3:円安

出典:一般社団法人日本貿易会 キッズサイト【日本の主な輸入品と輸入先】

我々が普段生活するうえで買っているものの多くは、海外から輸入されているものです。

  • ガソリンや灯油、LNGなどのエネルギー(主にサウジアラビアなど中東から)
  • 医薬品(主に欧米から)
  • 通信機(中国や東南アジアから)
  • トウモロコシ・小麦粉などの穀物(主に米国から)
  • 衣類(中国や東南アジアから)

など挙げたらキリがありません。

円安になると、ドル建の輸入価格は変わらなくても、円ベースの輸入価格は上昇するため、消費者の購入価格は上昇することになります。

つまり、物価高(インフレ)ですね。

注意したいのは、円安は必ず悪いとは言えないということです。

なぜなら、円安になると輸入価格は上昇しますが、輸出企業の価格競争力が高まるため、企業の利益が拡大し株高・給料増につながり、景気の好転させる側面があるからです。

原因4:消費税率の引き上げ

ロックミュージシャンのDAIGOさんの祖父である竹下総理が1989年に消費税を導入しました。

当初の税率は3%。

そこから、1997年に5%、2014年に8%、更に2019年に10%となって現在(2022年)に至っています。

消費税率が引きあがったことで、物価が上がる=インフレになる、ということは肌感覚でわかると思います。

例えば、100円で買えていたモノが、103円、105円、108円、110円と出さないと買えなくなってしまったわけですからね。

原因5:お金の流通量の増加

世の中に出回るお金の流通量が多くしても、お金の価値が下がり、インフレの原因となります。

お金の流通量を多くするには、政府の方針でお金をばらまけばいい。

政府としては、お金をばらまくことで消費を刺激し、景気をよくしていこうという狙いがあります。

企業や人々はというと、手元のお金が多くなることで気持ちに余裕が生まれ、お金が使う動機が生まれます。

お金の流通量ってどうやって増やすの?

政府/中央銀行の打ち手としては、財政政策と金融政策があります。

財政政策でお金をジャブジャブに

●減税する
→減税を実施すれば、手元に残るお金が増えるわけですから、気持ちに余裕が生まれて消費増につながる可能性があると考えられています。

●公共事業を増やす
→国の予算で道路を作ったり、橋を架けたりする公共事業によって、設備投資・雇用の創出・給与の増加となり、やがて消費拡大につながる可能性があると考えています。

●社会保障(年金)を増やす
→年金生活者は老後の生活を、受給する年金というフローと退職金・貯蓄などのストックを原資にして、生活しています。

年金額を増やすことで、気持ちに余裕が生まれ、消費拡大につながる可能性があると考えられています。

●所得の再分配をする
→所得の再分配とは、富める者(富裕層)からそうでない者へ所得を振り向けることです。

富裕層はごく少数しかいません。大多数はマス層です。

更にマス層をもっと細かく分類すると、金融資産をほとんど有していない層(貧困層)もいることでしょう。

出典:野村総合研究所2020.12.21リリース記事

所得の再分配が行われれば、大多数を占めるマス層が消費に向かう可能性があると考えられているからです。

金融政策でお金をジャブジャブに

●公定歩合の引き下げ
→日本の中央銀行である日本銀行(略して日銀)は、民間の金融機関にお金を貸し出す役割があります。

日銀が民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準金利のことを公定歩合といいます。

日銀→民間の金融機関→企業・人々

この公定歩合が低くなれば、民間の金融機関は資金の調達コストが低くなるため、積極的にお金を貸し出すようになると考えられています。

企業・人々の資金需要が増え、設備投資や消費にお金が回ると世の中のお金の流通量が増えることになります。

●買いオペ
→民間の金融機関は、国債などの債券をたくさん保有しています。民間の金融機関が有している債券を、日銀が買い取ることを「買いオペ」と言います。

日銀が債券を半ば強制的に買い上げてお金を供給するのですから、民間の金融機関はお金がジャブジャブになります。

ジャブジャブになったお金はやがて企業や人々への貸し出しにつながると考えられています。

財政政策と金融政策についてみてきました。

お金をばらまいて流通量を増やせば、お金の価値は下がり物価があがる(インフレになる)と感が和えられています。

ここまでの説明で、恐らく疑問が浮かんでいるであろうことはこんなことではないでしょうか。

日本の財政政策とか金融政策はうまくいっているの?

・・・実際にはあまりうまく行っている感じではないですね。

大多数のマス層(庶民)がなかなか消費に向かおうとしないのは、将来不安で気持ちに余裕がなく、貯め込んでいるからですね。

ごく少数の富裕層は、ますます資産を増やし、積極的な消費をしていますが。

ここまでで、インフレとは何か?なぜインフレが起きるのか5つの原因について解説してきました。

インフレによる悪影響は?

先ほどインフレには「よいインフレ」もあることを話しました。

値上げしてもモノが売れる→企業の利益・従業員の給料が上がる→消費が増える→・・・という景気がよくなるサイクルでしたね。

ただ、この場合でも、悪影響が出るものがあります。

それは、お金の価値が目減りすることです。

冒頭の「インフレとは?」のパートで、インフレはモノの値段が上がっていくことで、これは同時にお金の価値が下がることを意味すると述べました。

今手元に持っている100万円で買えるクルマも、インフレになると1年後には100万円では買えなくなります。

100万円は100万円です。額面金額は変わりません。

でもクルマの値段が、インフレで100万円→110万円とかに値上がりしてますからね。

インフレ対策(資産を守る対策)はどうしたらいい?

超低金利のこのご時世、銀行にお金を預けていても全然お金は増えていきません。

一方でインフレは進んでいきます。

額面は変わらなくても、同じお金で買えるものはどんどん狭まっていきます。

インフレの局面で預貯金が負けというのは、まさしくこの意味です。

じゃあ、どうしたらいい?

モノの価格が上がり、お金の価値が下がっていくのがインフレです。

だったら、今持っているお金を「価値ある別のモノ」に替えておくというのが原則的な考え方です。

もうここまで読んだら、「銀行預金なら元本割れしない」「元本割れが怖いから投資しない」とか言ってるのがアホな話であることはもうわかりますね。

別のモノとは何か。

例えば以下のようなモノです。

  • 外貨
  • 貴金属

インフレの状況では円安に振れる傾向があります。

円という価値が下がり、ドルとかユーロなどの外貨の価値が相対的に上がるからですね。

円安だと輸入物価が高くなるので企業の利益を圧迫するマイナスの側面もありますが、輸出企業は業績が好調になることが考えられます。

その企業の株を購入しておけば株価があがり、インフレ対策になるというわけです。

もちろん、投資なんで絶対はないですけどね。

まとめ

インフレとは何か、何が原因で起きるのかということを解説してきました。

物価が上昇するインフレでは、お金の価値は相対的に下がります。

だから、預貯金では額面金額は変わらなくても、実質的な価値は目減りして(負ける)ということが理解できたのではないでしょうか。

じゃあ、「預貯金」は意味がないのか、というとそんなことはありませんので誤解なきように。

今の手元のお金を別のモノに替えるとしても、そもそもある程度まとまったお金(虎の子の資金)がなければ何も始められませんからね。

お金を増やすにはお金が必要っていう部分があるのは事実です。

ただ、「じゃあ、そもそもお金を持っていない自分にはムリ!」と短絡的に決めつけてしまうのは諦めが早すぎといういもの。

自分自身を鍛えて自力で稼げるようになれば、あなた自身が資産になれます。

「会社の給料が上がらないな~」とか他者に依存して受け身でいるよりも、「どうやって稼いでいこうか・・・」と頭を巡らせて行動した方が老け込むことはないですからね。

実はこれが一番の老後資金対策だったりするかも。。。

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