資産構築・運用・管理

変動金利から固定金利への借り換えのタイミングはいつ?イソップ物語から学ぶ教訓

住宅ローンを組むとき金利が低かったから変動金利で借りた
でも将来の金利上昇が心配
だから固定金利に借り換えたいな
ベストなタイミングはいつだろう・・・

確かに、金利が低いうちは変動金利で借りておいて、金利が上昇するタイミングで固定金利に借り換えができれば、ベストというものです。

ただ、金利が上昇することを事前に察知して、変動金利から固定金利に借り換えられるでしょうか。

私の結論は、それはほぼムリゲーなので、最初から長期で金利を固定化しましょう、というものです。

この記事を書いていて頭に思い浮かんできたのは、イソップ物語に出てくる”よくばりな犬”という有名な話です。

この教訓から学びましょう。

イソップ物語「よくばりな犬」の教訓

イソップ物語で「よくばりな犬」はこんなストーリーでしたね。

ある犬が、肉をくわえたまま橋を渡っていた。

ふと下を見ると、見知らぬ犬が肉をくわえてこちらを見ている。

犬はその肉が欲しくなり、脅すために吠えた。

すると、くわえていた肉が川に落ちて流されてしまった。

もう一匹の犬は、水面に写った自分自身の姿だったのである。

この教訓は、もうおわかりですね。

「欲張ると、元も子も無くなる」

というものですね。

変動から固定への借り換えのタイミングが難しい理由

金利が低い変動金利で借りて、金利が上昇するタイミングで固定金利に借り換えるという”おいしいとこ取り”は、ほとんどムリゲーです。

というのも、変動金利が上昇してきたから長期の固定金利に借り換えようとしても、その時は既に固定金利が上昇していると考えられるからです。

なぜそうなるのかというと、変動金利と固定金利とでは指標となるものが異なり、金利の決まり方が違うからです。

では、次に金利が変動する仕組みを解説していきます。

変動金利の指標と動く仕組みは?

変動金利の指標となるのは短期プライムレート(短プラ)です。

短プラは、銀行などの金融機関が信頼性のある企業などに資金を貸し付けする際の金利のことで、その期間が1年間以内のものをさします。

これが住宅ローンの変動金利は、この短プラを基準に適用金利を決めています。

金利変更のタイミングは、年2回(4月1日と10月1日)です。

従って、変動金利の金利動向を知るには、短プラの動きをウォッチして行くことになります。

短プラの推移は、日銀のサイトで確認することができます。

次に、「短プラはどうやって動くの?」という疑問が湧いてきませんか。

短プラは、銀行の銀行である日銀(中央銀行)が、一般の銀行(市中銀行)に融資する際の金利(政策金利)に影響を受けます。

日本銀行で開かれる金融政策決定会合と呼ばれる会議で金利政策が決まります。

政策金利が今後どう動くか予想するには、決定会合に参加する委員の発言や最近の会合の議事録を丹念にウォッチしていく必要があります。

でも、日銀の動向を常にウォッチしているアナリストならいざ知らず、我々がそんなことをするのはまず不可能ですかね。

長期固定金利の指標と動く仕組みは?

短期金利は、日銀がコントロールしているという話をしました。

一方、固定金利の指標は「10年物国債の利回り(新発10年国債利回り)」です。

新発10年国債利回りの推移はこちらで確認できます。

長期金利は、マーケット(市場)のメカニズムで決まっていきます。

長期金利が変動する3つの主な要因は以下の通りです。

  1. 「将来物価が上がるのか?」(期待インフレ率)
  2. 「経済活動が活発になるのか?」(期待潜在成長率)
  3. 「貸したお金がちゃんと返ってくるのか?」(リスクプレミアム)

 

「将来物価が上がる?」(期待インフレ率)

将来の物価水準が上がるのか下がるのか(インフレになるのか・デフレになるのか)という“予想”です。

将来インフレになると予想されれば、債券が売られて株式が買われる、という動きになります。

債券が売られると、利回りが上昇するというメカニズムです。

「経済活動が活発になる?」(期待潜在成長率)

将来経済が成長していくと“予想”されれば、企業は設備投資を積極的に行うメリットが高まります。

長期の資金需要が増えて、長期金利が上昇するというメカニズムです。

「貸したお金がちゃんと返ってくる?」(リスクプレミアム)

長期資金の貸し手が、借り手に対して要求する上乗せ金利ですね。

返済される見込みが薄ければ薄いほど、金融機関など資金の貸し手が要求するリスクプレミアムが高まり、長期金利が上昇するというメカニズムです。

新聞等で長期金利の動きが報じられる時は、10年ものの国債新発債利回りの動きが取り上げられます。

債券「相場」が値上がりすれば長期金利は低下、値下がりすれば長期金利は上昇というように、長期金利も「相場」として動きます。

まとめ

変動金利で組んでいる住宅ローンを固定金利に借り換えるタイミングはいつかについて検討してきました。

繰り返しになりますが、ベストのタイミングを見つけるのはほぼムリゲーでしょう。

なぜなら、変動金利が上がるタイミングでは、既に固定金利が上がっていることが考えられるからです。

短期金利と長期金利の決まり方が異なるのです。

私からの提案は、変動金利を固定金利に借り換えるのはいつがベストなのかなんてことを借りてから考えるのではなく、最初から固定金利にしてしまうということです。

そうすれば、期中にいろいろと気を揉む必要がなくなりますから。

いいところだけを得ようとすると結局損することは、イソップ物語のよくばりな犬が教えてくれましたね。

実は、私は子供の小学校で絵本の読み聞かせをしています。

子供の頃に読んだイソップ物語を含む絵本・ストーリーは、大人になって読み返してみると奥深さに気づきます。

シンプルなストーリーの中にも、人生の教訓を学べるので、読んでみてはいかがでしょうか。

私は強くおすすめします!

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