共有を解消するにはどんな方法があるんだろう・・・
前回の記事では、共有名義の不動産をそのまま放置しておいた結果、持分が細分化していき”負動産”になってしまったケースを取り上げました。
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共有名義不動産の末路|相続で持分が細分化する実例
今回は、共有状態の解消方法について解説していきます。
親族といえども互いに疎遠だったり、親族だからこそ感情的なもつれが大きくなることがありますよね。
そうすると、1つの不動産をどう扱うかについて、「意見が合わない」ということが起こり、トラブルに発展することもあります。
7つの解決方法をご紹介していますので、この記事を読めば解決の糸口が見つかるはずですので、ぜひ最後までお読みください。
なお、私自身は1級ファイナンシャル・プランニング技能士であり、その知見を活かし共有名義だった実家を単独名義として解決した経験があります。
なぜ不動産の共有名義はデメリットが大きいのか
共有名義となるきっかけは、相続とか共働きの夫婦が共同で購入するとかが多いでしょうか。
不動産が単独所有だろうと共同所有だろうと、普段住む分にはあまり気にすることはないのでしょう。
問題が顕在化するのは、相続や離婚が発生したときです。
1つの不動産について、誰が住むのか、賃貸に出すのか、売却するのかについて意見がまとまらず、そのままずるずると行ってしまうことなんですね。
私の実家もそうでした。
祖父が亡くなり、その持ち分は祖母と父と父の兄弟4人の共有状態となりました。
もう連絡も取っていない、居場所もよくわからない父の兄弟も、私の実家について民法上は所有権を持っていたことになります。
結局この時は、法定相続分で共有名義にして登記することもせず、名義を祖父(被相続人)のままで何も登記をしない、という手段を取ることにしました。
そしてこの後時は流れ、今度は祖母が他界し、兄弟の内2人が他界しました。
問題が複雑化したのは、父の弟2人(三男と四男)が他界したときです。
三男は、脳梗塞で倒れその後長い入院生活の末に亡くなりました。
妻と3人の子供がいるので、三男の持ち分は妻子に相続され、実家の権利者は増えました。
四男については、かつて多額の借金をした際、祖父を連帯保証人にして、行方をくらませてしまった過去があります。
ずっと行方知れずでしたが、ある時警察から父のもとに事件に巻き込まれて死亡との連絡が入りましました。
戸籍を取ってみると、妻(その後離婚)と子供2人がいることがわかりました。
ということは、四男の相続分は、その子供2人に移ることになり、実家の権利者が増えることになりました。
これで、私の実家の権利を有するのは、長男・長女・二男(父)・三男の妻子4人・四男の子供2人の合計9人です。
中には、会ったこともない人もいます。
最終的には、祖父・祖母と同居し最後まで面倒を診ていた父の単独名義にすることができたのですが、ただその権利調整の過程は、とても時間がかかり困難を極めました。
なぜ不動産を共有名義のままにしておくことがデメリットになるのか、もうおわかりですね。
不動産を共有名義にしておくと、権利関係がどんどん複雑になるからですね。
相続が発生しても、何ら登記をせずそのままずっと放置しておくと、もう所有者が誰なのかよくわからなくなります。
経済誌の記事によると所有者不明の土地の面積は、九州の面積を超えるという試算もあります。
全国の私有地の2割はすでに所有者の把握が難しくなっている。
面積に当てはめると、四国はもちろん、九州を上回る規模だ。
出典:東洋経済 「所有者不明土地」が九州の面積を超える理由
共有名義を解消する7つの方法
それでは、共有名義を解消する7つの方法について解説していきます。
- 共有者全員で協力して売却する
- 自分の持分を他の共有者に売却する
- 他の共有者の持分を自分が買い取る
- 自分の持分を放棄する
- 共有物分割請求訴訟をする
- 共有不動産を分割(文筆)する
- 自分の持分を第三者へ売却する
①共有者全員で協力して売却する
もし共有者全員が協力的で、不動産を売却することに合意できれば何ら問題はありません。
この場合は市場価格で売却でき、そのお金は共有者に持分割合に応じで分けることができます。
ただ、現実の世界はそんなに単純ではないはずです。
共有者間で誰か一人でも反対したら売却はできません。
そもそも人間関係がこじれていて協議のテーブルにすらつかないということもありますからね。
②自分の持分を他の共有者に売却する
自分の共有持ち分を他の共有者に売却する(持分移転)すること方法もあります。
自分の持分を手放すわけなので、共有状態を解消できることになります。
ただ、他の共有者に譲る金額に折り合いがつかないということは現実的に起きる可能性もあります。
③他の共有者の持分を自分が買取る
逆に、他の共有者の持分を自分が買い取る(持分移転)ことで、共有名義を解消することもできます。
他の共有者全員から買取ることができれば、最終的に単独所有となり、その後は自分が住もうが、賃貸に出そうが、売却しようが自由です。
共有名義人の人数が多いと手続きも大変ですが、トライしてみる価値はありでしょう。
ただし、この場合もお互いの関係が良好であり、価格面で折り合いがつけられることが必須の条件となるでしょう。
④自分の共有持分を放棄する
持分放棄とは、不動産を共有している人が自分の持ち分を放棄することをいいます。
放棄した持ち分は他の共有者に帰属することになるので、一人以外の共有者が持分放棄をすれば、単独名義となり共有名義が解消されます。
所有権を譲り受けた人に、贈与税がかかる可能性があるのは注意点です。
⑤共有物分割請求訴訟をする
もし他の共有者と協議が整わない場合は、裁判所に入ってもらうという方法もあります。
共有物分割請求訴訟は、民法258条に規定されているものです。
(裁判による共有物の分割)
第258条
1. 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2. 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
最終的には裁判所の判断で競売となり、売却した金額を共有者に分割する方法を取ります。
この方法は、法的・理論的にはできる方法ですが、ここまでに至るケースは現実にはまれのようです。
⑥共有不動産を分割(文筆)する
共有状態を解消する原則は、1つの土地を物理的に分けて、それぞれが単独所有するというものです。
分筆とは、1つの土地を共有者の数に応じて、2つ以上の土地に分けることです。
広大な土地であればそれは可能ではありますが、ふつーの宅地を細分化するというのは現実的ではありません。
マンションなんかは、まずできませんし。
⑦自分の持分を第三者への売却する
これは、共有持分を第三者に売却することで、共有名義の解消を行う方法です。
各共有者は、それぞれ自由に自分の持分を他に譲渡できます。
まとめ
今回は、不動産の共有状態を解消する7つの方法についてのお話でした。
- 共有者全員で協力して売却する
- 自分の持分を他の共有者に売却する
- 他の共有者の持分を自分が買い取る
- 自分の持分を放棄する
- 共有物分割請求訴訟をする
- 共有不動産を分割(文筆)する
- 自分の持分を第三者へ売却する
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの参考になれば幸いです。
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