住宅ローンを滞納したらどうなる?競売手続き開始までの流れと自己破産の影響

こんにちは。

もし、住宅ローンを滞納したら一体どうなるのか・・・
住宅ローンを滞納してしまった!この先どうなるのか・・・

という不安を感じている人に向けて今回は記事を書きます。

ただ、漠然と不安を募らせても解決しません。

でも予め滞納後の流れを冷静の把握できれば、解決の糸口が見えてきますので。

滞納発生!引き落としができなかったらどうなる?

住宅ローン返済の引き落としができず滞納となってしまうのは、

  • ついうっかり残高不足だったから
  • 返済が苦しくなったから

という事情があります。

ブラックリストに載る

いずれの場合でも、まずこの時点で個人の信用情報に傷がつくことになります。

具体的には、信用情報機関で「期日にきちんと返済しなかったという事実」がデータとして残ります。

いわゆる「ブラックリストに載る」というのはこのことを言うのですね。

ちなみに、信用情報機関とは以下の3つです。

  • JICC(日本信用情報機構)
  • CIC(シー・アイ・シー)
  • JBA(全国銀行協会)

この滞納情報は滞納が解消されたとしても5年間は残ります。

この影響は、家のリフォームローンや車のローン、カードローンなど新たな借り入れの審査や、新しくクレジットカードを作るときの審査などにマイナスに影響します。

ただ、必ず審査に落ちるのかというとそうでもありません。

審査が通るか通らないかは、審査する側の基準に準拠します。

金融機関の対応

住宅ローンを組んだ銀行などの金融機関の対応はどうでしょうか。

金融機関からは電話がきます。

内容は、「○月○日分の返済が滞納しているので払ってください」というものです。

うっかり引き落としできなかっただけであれば、滞納している返済額と延滞遅延金を併せて指定の口座に振り込みます。

そして翌月以降も通常通り引き落としによりローンの返済を行っていくことになります。

住宅ローン滞納1-2ヶ月でどうなる?

滞納してから1~2ヶ月経つと、銀行から「支払い請求書」が届き、滞納している住宅ローン、遅延損害金が請求されます。

この「支払い請求書」は圧着された二つ折りのはがきである場合がほとんどです。

請求書の内容は、

  • いつの分の滞納か
  • いくら滞納しているか

というものです。

銀行からはお電話での督促もありますが、この段階ではまだ厳しい取り立てのようなイメージはありません。

住宅ローン優遇金利がなくなる影響をシミュレーションしてみた

住宅ローンの返済を滞納すると、借入当初に適用した優遇金利はなくなります。

その時期は、(金融機関によりますが)早ければ滞納発生時点、遅くとも1-2ヶ月の滞納後時点まです。

優遇金利がなくなる影響を以下のケースでシミュレーションしてみました。

下記は、当初3,000万円借りて、5年後に滞納により優遇金利がなくなってしまったケースです。

優遇金利がなくなれば、基準(店頭)金利がそのまま適用金利となりますから、金利は上昇します。

引き上げられた適用金利に基づいて残期間の返済額を計算することになりますから、当然に月々の返済額は上昇します。

上記のケースでは、23千円以上月々の返済額が上昇することになります。

滞納前で優遇金利を適用していた期間は、月々8万円弱で年間95万円ほどの返済額でした。

滞納して優遇金利適用なしとなった後は、月々10万円ちょっととなり年間で123万円ほどの返済額となりました。

金利は上昇しているのですから、返済額における元本部分と利息部分の構成も以下のように変わってきます。

 

住宅ローン滞納3ー6ヶ月でどうなる?

滞納してから3ヶ月経つと、金融機関から「催告書」or「督促状」が届きます。

これらの書面は、前のはがきよりも厳しい督促内容になっております。

そして、返済を滞納している元金・利息および遅延損害金を指定の期日までに支払わない場合、以下の内容が盛り込まれることになります。

  • 債務者(借り手)は、住宅ローンを分割して支払う権利(期限の利益)を失うこと
  • 債権者(貸し手=金融機関)は、保証会社に代位弁済を求める

「期限の利益」とは、住宅ローンを月々分割して返済する権利です。

この「期限の利益」を失うということは、分割して返済できなくなり一括で残りのローンを返済しなければならなくなるということです。

これ借り手からすれば、「住宅ローンを月々返済するお金がないから困っているのに、ローンの残高を全額を一括で返済しろって言われてもよ・・・」って気持ちになりますよね。

債権者(貸し手=金融機関)だって、債務者(借り手)が一括で返済することが不可能だってほとんどわかってます。

だから、債権者(貸し手=金融機関)は、保証会社に対して「もう債務者が住宅ローンを払えないようだから、債務者に代わってローンの残債を払ってね」と要請して貸し出した資金を回収するんです。

これが、「保証会社に代位弁済を求める」ってことですね。

住宅ローン滞納6-10ヶ月でどうなる?

それでも金融機関からの「催告書」を放置し、滞納を放っておくとどうなるか。

次に届くのは「期限の利益喪失通知」です。

ここまで来ると来る時がきたという感じです。

続いて、「代位弁済通知」が届きます。

これは、「保証会社が債務者(借り手)に代わって住宅ローンの残債を金融機関に支払いました」という内容です。

これを読んで、「保証会社が代わりに払ってくれたんだ。ヨカッタよかった。」とはなりません。

今度は、金融機関に代わって保証会社が債権者となり、借り手(債務者)に、ローンの残額と遅延損害金を一括で支払うように請求がきます。

この通知が来ても、やっぱり一括で払うことなんでほとんど不可能です。

そもそも月々の支払ができなくて滞納しているんですから。

この後、「競売開始決定通知」が届き、競売の手続きに移ります。

裁判所は、金融機関の申し立てに基づき競売手続を開始し担保不動産を差し押さえます。

差し押さえられたとう情報は登記簿謄本にも記載されるので、第三者が知ることは可能です。

ここまでが滞納の発生から競売の手続が開始されるまでの流れです。

競売となり自己破産するとどうなる?

競売となると、裁判所の管理下で売却の手続きが粛々と進められます。

執行官や評価人(不動産鑑定士)が競売にかけるための調査をしに家にやって、写真をバシャバシャと撮られたりするわけです。

国家権力に基づくものですから、拒否することはできません。

実際にこんな場面になったら、精神的にもかなり凹みますよね。

しかも、競売は経済合理性に基づいた市場で、入札者のほとんどは不動産業者もしくはセミプロです。

落札価格は市場価格の6-7割で、家の持ち主の意思が反映されることはありません。

競売で不動産を現金化して住宅ローンに充てたとしても残債が残ります。

この残債についても返済義務が残ります。

家を失った上に残りの残債を返済できないとなると、打てる手は限られてきます。

その一つは、自己破産です。

自己破産すると、債務をチャラ(ゼロ)にしてもらえる一方で、相応の制裁を受けます。

まず、自己破産すると「家以外も失う」ことになります。

具体的には、以下のものです。

  • 99万円を超える現金
  • 時価で20万円を超える財産(クルマなど)

また、ブラックリストに載りますからクレジットカードの作成が難しくなり、ローンが組みにくくなります。

他には、逃亡などのリスクを防ぐため、引っ越しは裁判所の許可を得なければならないとか、郵便物も管理されたりすることもあります。

競売→自己破産を避けるにはどうする?

もちろん一番いいのは、滞納することなく住宅ローンの返済を続けるということです。

滞納する前にできることはあります!

参考記事:住宅ローンの返済がきつい!滞納前にできる5つのこと

ただ、現実には厳しくなったら、「どう考えてもこの先返済を続けられそうにない・・・」ということが自分でわかってしまうこともありますよね。

その場合、「競売→自己破産」を避ける手段として任意売却という方法があります。

競売にしても任意売却にしても、「家を手放す」ということには変わりはありません。

ただ、任意売却は売却後の残債について、無理のない金額を分割して返済していける可能性があります。

例えば、任意売却で自宅を売却後、債務が500万円残ったとします。

この場合でも、「月々1万円の返済でいい」と認めてもらえれば、生活を再建できる希望が湧くのではないでしょうか。

これを知らないまま、

  • 「どーせ家を手放すことになるんだから・・・」とやけになって滞納を放置して競売になる
  • 「自己破産して楽になりましょう」と弁護士から言われるがままに手続きする

というのはあまりにももったいないです。

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